炎症と筋肉の衰え(萎縮)の関係

2025.09.07

私たちの身体の筋肉は、使わなかったり年齢を重ねたりすると少しずつ衰えていきます。これを「筋肉の萎縮」といいますが、その大きな原因の一つが「炎症」です。炎症というとケガや病気の時の「腫れ」「赤み」をイメージする人も多いと思いますが、実は目に見えないレベルで起きる慢性的な炎症が、筋肉の健康に大きく関わっています。

炎症が筋肉に与える影響

炎症が続くと、体の中で「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が増えます。これは免疫反応を起こすために必要なものですが、長期間高い状態が続くと筋肉を分解する方向に働いてしまいます。つまり、「筋肉を作るスイッチ」よりも「壊すスイッチ」が優先されるようになるのです。

例えば、がんや慢性疾患、さらには高齢者によく見られる「サルコペニア(加齢による筋肉量低下)」でも、この炎症の影響が指摘されています。

身近な炎症の原因

炎症は病気やケガだけでなく、生活習慣とも深く関わっています。例えば、

  • ・運動不足

  • ・高脂肪・高糖質の食生活

  • ・睡眠不足

  • ・慢性的なストレス

これらはいずれも体内で軽い炎症を起こし、気づかないうちに筋肉の衰えを進めてしまう要因になります。

炎症を抑えて筋肉を守るには?

炎症そのものを完全に避けることはできませんが、日常生活の工夫で大きく変えることができます。研究でも次のような習慣が効果的だとされています。

  1. 適度な運動
    軽い筋トレやウォーキングは炎症を抑える物質を増やし、筋肉を維持する力になります。


  2. バランスの取れた食事
    魚に多いオメガ3脂肪酸や、野菜・果物の抗酸化成分は炎症を和らげる効果が知られています。


  3. 質の良い睡眠
    睡眠不足は炎症性サイトカインを増やすため、しっかり眠ることが大切です。


  4. ストレス管理
    瞑想や深呼吸などで自律神経を整えることも、炎症を抑える助けになります

    まとめ
    「炎症=筋肉の敵」と言うと少し大げさに聞こえるかもしれません。しかし実際には、慢性的な炎症が筋肉の分解を進め、筋力の低下や生活の質の低下に直結します。逆に、運動や食事、睡眠などの基本的な生活習慣を整えることで炎症を和らげ、筋肉を守ることができます。

    筋肉の健康は「動ける身体」「自立した生活」の土台です。年齢を問わず、炎症と上手に付き合いながら、筋肉を守っていく意識が大切だと言えるでしょう。

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