太りすぎと腰のヘルニア:研究から分かる本当のリスク

2025.09.05

腰のヘルニアは、腰の骨と骨の間にあるクッションが飛び出し、神経を圧迫して強い腰痛や足のしびれを引き起こす病気です。これまで多くの研究で、「太りすぎ」がこの病気のリスクを高めるのではないかと調べられてきました。

最初の大きな研究のひとつでは、332人のヘルニア患者と1,205人の同年代・同性の人を比べました。その結果、男性では体重が重いほどヘルニアになる確率が高いことが明らかになりました。

その後に行われた3,000人以上を対象にした調査でも同じような傾向が見られ、太りすぎや肥満の人はヘルニアになりやすく、しかも手術が必要なほど重症化しやすいという結果が出ています。

別の研究では、564人のヘルニア患者と901人の比較が行われました。ここでもやはり、体重が増えるとヘルニアのリスクが上がることが確認されています。

こうした複数の研究をまとめた26件の研究の分析では、太りすぎや肥満があると、腰や足の神経のトラブル(坐骨神経痛)や手術が必要になるリスクが10〜90%高まることが示されました。

さらに重要なのは「糖尿病」との関わりです。肥満は糖尿病を引き起こしやすいことはよく知られていますが、実は糖尿病そのものもヘルニアのリスクを高める可能性があります。

例えば、約9万8千人の女性を16年間追跡した大規模研究では、糖尿病がある人は、ない人に比べてヘルニアになる確率が1.5倍に上がることが分かりました。

また、200人の患者を追跡した研究や、575人の患者と219人の比較研究でも、糖尿病を持つ人はヘルニアの発症や手術の可能性が高いことが示されています。

一方で、最近の研究では少し違った視点もあります。糖尿病はヘルニアそのものよりも、**神経の通り道が狭くなる「腰部脊柱管狭窄症」**といった別の病気に関わっているのではないか、という見方です。

まとめ

数多くの研究を総合すると、「太りすぎ」や「糖尿病」は腰の健康にとって大きなリスクだといえます。
体重が増えると腰への負担が増すだけでなく、糖尿病を通じてさらにリスクが高まる可能性もあります。
腰痛やヘルニアを防ぐためには、体重管理と生活習慣の改善が欠かせません。

エレベーターではなく階段を使う、甘い飲み物を控える、毎日少しでも体を動かす――そんな小さな工夫の積み重ねが、将来の腰の健康を守ることにつながります。

「腰痛予防は体重管理から」。これは多くの研究が示している、信頼できるメッセージです。

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