自然の中で運動することが「心の健康」に効く理由

2025.10.10

休日に公園を歩いたり、山の中を散歩したとき、「気持ちがスッとする」「頭がクリアになる」と感じたことはありませんか?
実はそれ、気のせいではありません。
最新の研究で、自然の中で運動することが、体だけでなく心にも良い影響を与えることが明らかになりました。

イタリア・ヴェローナ大学などの研究チームが2025年に発表した論文では、「自然の中」「街中」「屋内」という3つの環境での運動を比較し、どこで運動するのが最も“回復”につながるかを調べました。
運動内容は、健康な男性25人が1時間のウォーキングを行うというシンプルなもの。速度は時速6kmほどの軽い運動です。
しかし、運動する場所が違うだけで、感じ方や体の反応に大きな違いが出たのです。

自然の中では「気持ちのリセット効果」が大きい

研究の結果、自然の中で運動した人は、
・リラックス感が強く、
・気分が前向きになり、
・ストレスホルモンである「コルチゾール」が低下していたことが分かりました。

一方、街中や屋内での運動では、同じ運動量でもこうした変化があまり見られませんでした。
また、自然の中で運動した人ほど「またやりたい」「続けたい」と思う意欲が高かったのも特徴的です。

つまり、自然環境は“癒し”と“やる気”の両方を生み出す力があるということです。

自然の「回復力」とは?

研究チームは、自然には「回復的特性(Restorative properties)」があると説明しています。
木々の緑や風の音、鳥のさえずりなど、自然の刺激は人の脳に穏やかな影響を与え、緊張をほどき、注意力を回復させる働きがあります。

これは「注意回復理論(Attention Restoration Theory)」と呼ばれる心理学の考え方にも基づいており、自然の中では脳が“休息モード”に切り替わるのです。
だからこそ、同じ運動でも自然の中ではストレスが減り、ポジティブな感情が高まりやすいのです。

続ける運動にするために「場所選び」が大事

私たちは「体にいい」と分かっていても、運動を続けるのはなかなか難しいもの。
でも、自然の中での運動は“気持ちいい”という感覚が強く、義務ではなく楽しみに変わるため、続けやすくなるのです。

実際、この研究でも自然の中で運動した人ほど、次も運動したいという意欲が高い傾向が見られました。
これは、健康づくりの習慣化を考えるうえで、とても大切な発見です。

日常に「グリーンエクササイズ」を取り入れてみよう

忙しい日常の中でも、少し意識するだけで自然との時間は作れます。
・近くの公園を1周歩く
・休みの日に緑の多い道を選んでウォーキングする
・ベンチに座って深呼吸する

たったこれだけでも、心拍数や呼吸、気分にプラスの変化が起きるといわれています。

まとめ

この研究は、運動を“どこで行うか”が、心と体の回復に大きく関わることを示しています。
自然の中での運動は、ストレスを減らし、ポジティブな気分を高め、運動を続けるモチベーションまで高めてくれる。
まさに「心と体を同時に整える健康法」といえるでしょう。

次の休日、ジムではなく公園や川沿いを歩いてみてください。
木々の緑や風の音が、きっとあなたの心をリセットしてくれるはずです。

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