「肩が痛くて腕が上がらない」「着替えや髪を結ぶのがつらい」――そんな症状を「四十肩・五十肩」と呼ぶことがあります。医学的には「凍結肩(拘縮肩)」といい、肩関節を包む関節包が硬くなって動かしにくくなる病気です。
よく患者さんから聞かれるのが、「放っておけば治りますか?」「リハビリは必要ですか?」という質問です。実はこれ、研究でも意見が分かれるテーマなんです。
自然に治るって本当?
凍結肩は「時間が経てば自然に良くなる」と言われてきました。確かに多くの人は1〜3年で痛みが和らぎ、肩も動かしやすくなってきます。ただし全員が完全に元通りになるわけではなく、7年後の追跡調査では約半分の人に軽い痛みやこわばりが残っていたという報告もあります。つまり「時間が解決してくれる」人もいれば、「少し症状が残る」人もいるのです。
「リハビリは無駄」という話ではありません。初期の強い痛みの時期に無理やり動かしたことで、かえって長引いてしまった可能性が考えられるのです。
リハビリが役立つタイミング
最新のまとめ研究(メタ解析)では、痛みが落ち着いてきた時期に運動療法やストレッチを行うと、痛みの軽減や肩の動きの改善が早まることが分かっています。つまり、リハビリは「いつ始めるか」がとても大事なんです。
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急性期(痛みが強い時期):安静と痛みコントロールが最優先。無理に動かさない。
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痛みが少し落ち着いた時期:ストレッチや運動療法で動きを取り戻す。リハビリが効果的。
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改善期:可動域の回復や筋力アップを目指し、肩をしっかり使っていく。
まとめ
凍結肩は多くの人が最終的に改善しますが、症状が長引いたり軽い不調が残る人も少なくありません。リハビリは「必ずしも全員に必要」ではないものの、日常生活を早く楽にしたい人には効果的な方法です。ただし、痛みが強い時期に無理をすると逆効果になりかねません。もし「リハビリを受けるか迷っている」という方は、症状の時期や強さを専門家に相談して、適切なタイミングで始めることをおすすめします。








