「筋トレをすると脂肪が減る」「筋肉が増えると健康になる」
よく耳にする言葉ですが、実際にどれくらい体に影響があるのか、気になりますよね。
2025年に発表された最新の総合研究では、筋肉の増加が、脂肪の量や血糖コントロール(血糖値の安定)にどんな影響を与えるのかを詳しく調べました。
この論文は、人を対象にした99件、動物実験を含む23件、合計122の研究を分析したもの。筋肉を鍛えることがどんな健康効果につながるかを、データで明らかにしています。
筋肉を増やすと、脂肪が減る・血糖が安定する
研究の結果、筋肉量が増えた人は、平均で約2〜3%筋肉が増加していました。
それに対して、体脂肪は平均4%ほど減少。
さらに、糖代謝の指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)が4%ほど下がり、空腹時血糖も約6%低下していました。
つまり、筋肉を増やすことで「脂肪が減り」「血糖値のコントロールが改善する」傾向がはっきり見られたのです。
動物実験でも同様の傾向があり、筋肉を大きく増やしたマウスでは脂肪量が20%以上減ったという結果もありました。
人でも動物でも、筋肉の成長が代謝を良くし、太りにくく、血糖が安定する方向に働いていることがわかります。
なぜ筋肉を増やすと代謝が良くなるの?
筋肉が増えると、単に「力が強くなる」だけではありません。
体のエネルギーの使い方そのものが変わります。
1.基礎代謝が上がる
筋肉は“エネルギーを消費する器官”のひとつ。
筋肉が多いほど、何もしなくてもカロリーを使う量が増えます。
2.血糖を取り込みやすくなる
筋肉はブドウ糖(血糖)をエネルギーとして使う場所。
筋トレを続けると、筋肉がインスリン(血糖を下げるホルモン)に反応しやすくなり、血糖値が上がりにくくなるんです。
3.ホルモン・物質の変化
筋肉は「ミオカイン」と呼ばれる物質を分泌し、脂肪分解や炎症の抑制などに関与しています。
つまり、筋肉は“代謝を調整する臓器”でもあるのです。
どんな筋トレが効果的?
この研究はレビュー論文のため、「具体的なやり方」は示していませんが、他の研究を踏まえると次のような方法が効果的です。
・週に2〜3回のレジスタンストレーニング(筋トレ)
・体重を使ったスクワットやプランクでもOK
・タンパク質をしっかり摂取(体重×1.2〜1.5g/日が目安)
・睡眠と休息をしっかり取る
特別な器具がなくても、自分の体を使った運動を継続するだけで代謝は変わると考えられます。
まとめ:筋肉は“代謝の味方”
この研究から分かるのは、
「筋肉を増やすこと」は、見た目を変えるだけでなく、“体の中の代謝を整える”ということ。
脂肪が減り、血糖値が安定し、エネルギーを効率的に使える体になる。
それが筋トレの本当の価値です。
ダイエットや健康維持を考えている人は、体重よりも“筋肉量”に注目してみてください。
筋肉を育てることは、未来の自分の健康を育てることでもあります。