「筋トレを始めてみたけど、全然変化がない…」そんな風に思ったことはありませんか?実はこれは自然なことなんです。特に40代、50代を過ぎてから筋トレを始める人にとって、筋肉の変化は少し“ゆっくり”やってきます。
ある研究では、60歳前後の男女を対象に脚のトレーニングを週2回、合計10週間続けてもらい、その間に筋肉や力がどう変わるかを調べました。使ったのは「レッグプレス」と呼ばれるマシンで、太ももの前やお尻を鍛える種目です。筋肉の太さを毎週チェックしながら変化を追ったところ、面白い結果が出ました。
筋肉が本当に「太くなった」と確認できたのは、なんと9週目。つまり、18回トレーニングをした後だったのです。9週目の時点で筋肉は平均7%ほど太くなり、10週目には8%増えていました。ここまでくると目に見えて体つきも変わってきます。一方で、筋肉が太くなる前から「力」は先に伸び始めていて、10週間で持ち上げられる重さが42%もアップしました。筋肉の大きさはまだ追いついていなくても、神経や体の使い方が慣れて、力は早い段階で向上するのです。
若い人の場合、3〜4週間で筋肉の太さに変化が出ることもあります。ところが年齢を重ねると、体がたんぱく質を作って筋肉に変えるスピードがどうしても遅くなります。これを「加齢による反応の鈍さ」と呼びます。だからこそ、中高年の方が筋トレを始めたときは「すぐに結果が出ない」と焦らないことが大切です。
逆に言えば、続けさえすれば確実に変わっていきます。筋トレの効果は“静かに、でも確実に”体に積み重なっていくのです。週2回の筋トレをしっかり続けた人たちが9週目から筋肉の成長を実感できたように、あなたの体も必ず応えてくれます。
「筋肉は裏切らない」という言葉を耳にしたことがある人も多いと思います。ただし、今回の研究が教えてくれるのは「筋肉は急がない」ということ。だからこそ、最初の2〜3か月は「まだ変わらないな」と思ってもあきらめないでください。その時期は筋肉の準備期間です。そして気がついたとき、ふと階段が楽になったり、姿勢が変わったりと、体の変化に驚く瞬間が訪れるはずです。
筋トレは“未来の自分への投資”です。9週間先のあなたが笑顔でいられるように、今日のトレーニングを積み重ねていきましょう。








