「移乗介助をするたびに、腰に負担がかかっている気がする…」
そんな悩みを抱える方々に向けて、興味深い研究があります。
新美英里氏の研究では、理学療法士が行う移乗介助動作時の身体的負担について、特に腰部への影響を中心に分析されています。
この研究では、健常な男性理学療法士8名を対象に、車椅子からベッドへの移乗介助動作を行ってもらい、腰部のストレスを測定しました。
その結果、腰部を把持する方法(腰部把持)では、腋窩部を把持する方法(腋窩把持)に比べて、腰部モーメントが有意に大きく、体幹前屈角度や床反力も増加していることが明らかになりました。
つまり、腰部把持による移乗介助は、理学療法士の腰部により大きなストレスをかけている可能性があるということです。
これらの結果から、移乗介助時の身体的負担を軽減するためには、介助方法の見直しや、補助器具の活用が重要であると考えられます。
自身の健康を守るためにも、正しい介助方法を学び、実践することが求められます。
腰痛予防のためのポイント:
・介助時の姿勢を意識し、腰部へのストレスを抑える
・適切な補助器具を使用して、身体的負担を軽減する
・ストレッチや体幹トレーニングで筋力を維持する
自身の身体を大切にし、腰痛予防に努めましょう。
参考文献: 新美 英里ほか(2006)「理学療法士による移乗介助動作時の身体的負担について」第42回日本理学療法学術大会 抄録集, セッションID: 1055.