加齢と女性ホルモンが関節に与える影響とは?

2025.09.20

私たちの体は年齢を重ねるにつれて少しずつ変化していきます。その中でも特に多くの人を悩ませるのが「変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)」です。これは膝や股関節などの関節がすり減り、痛みや腫れ、動きの制限を引き起こす病気で、進行すると日常生活にも大きな支障をきたします。世界的に見ても非常に多くの人がこの病気に悩まされており、医療費や生活の質に大きな影響を与えています。

年齢とともに起こる関節の変化

関節を覆っている「軟骨」は、クッションのように骨同士の摩擦を防ぎ、スムーズな動きを助けています。しかし加齢とともに軟骨を作り出す細胞の働きが弱まり、軟骨そのものも薄くなり、硬くなってしまいます。その結果、ひざや股関節の動きが悪くなり、痛みや炎症が起きやすくなるのです。
さらに、年齢を重ねると体の修復力も低下するため、一度傷んだ関節はなかなか元に戻らなくなります。この「修復力の低下」こそが、加齢による関節症の大きな特徴です。

女性に多い理由:閉経とエストロゲンの減少

特に注目されているのが、女性における発症リスクの高さです。閉経を迎えると女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が急激に減少します。実はこのエストロゲンには関節を守る働きがあると考えられており、炎症を抑えたり、軟骨を作る細胞を助けたりしているのです。
そのため、閉経後の女性では関節症のリスクが急増し、同年代の男性と比べて約2倍の頻度で発症するといわれています。

遺伝や体質も関係する?

もちろん原因はエストロゲンだけではありません。体重が増えると関節にかかる負担が増えますし、若い頃のケガもリスクになります。また、遺伝的な体質や生活習慣も関与しています。ただし「年齢」と「女性ホルモンの低下」は、誰にでも共通して起こるため、特に大きな要因とされています。

新しい研究から見えてきたこと

近年の研究では、年齢とホルモンの変化が関節の細胞レベルにどのような影響を与えるのかが少しずつ解明されています。例えば、加齢によって細胞が「老化」状態になると、炎症を起こす物質をたくさん出すようになり、関節の環境が悪化します。また、エストロゲンが少なくなると、この悪循環が加速することも分かってきました。
さらに、植物由来の成分やホルモンに似た作用を持つ物質を使った研究も進められており、今後の治療法の可能性として注目されています。

まとめ

変形性関節症は「年齢」と「女性ホルモンの減少」が大きく関わる病気です。特に閉経後の女性では発症リスクが高まるため、日常生活での工夫が大切になります。適度な運動で関節を動かし続けること、体重を管理すること、そして必要に応じて医師と相談しながら適切な治療や予防策を取り入れることが重要です。
「年齢だから仕方ない」とあきらめるのではなく、最新の研究を活かしながら、自分の関節を守る生活を心がけていきましょう。

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