年齢を重ねると筋肉量が減少しやすくなり、特に下肢の筋肉は早い段階から減っていくことが知られています。
その中でも「ふくらはぎの太さ(周径)」は、簡単に測定できる体の指標として注目されています。
今回の研究では、「ふくらはぎの太さの変化が、体の筋肉量の変化とどのように関係しているか?」というテーマに注目し、長期間にわたるデータを分析しました。
この研究で注目されたのは、高齢者や加齢に伴う筋力低下(サルコペニア)を予防・早期発見する手段として、ふくらはぎ周囲径を活用できるかどうかという点です。
ふくらはぎは主に下腿三頭筋(腓腹筋やヒラメ筋)で構成されており、歩行や立ち上がり動作など、日常生活の中で重要な働きをしています。
つまり、ふくらはぎの筋肉が減少すると、転倒のリスクが高まったり、日常生活の自立度が低下してしまう可能性があります。
研究では、数年間にわたって同じ人たちのふくらはぎ周囲径を定期的に測定し、同時に体組成計などを用いて全身の筋肉量も測定しました。
その結果、ふくらはぎの太さが減っていく人は、全身の筋肉量も減少している傾向があることがわかりました。
特に、高齢者においてはこの関連性が強く、ふくらはぎのサイズの変化を観察することで、体全体の筋肉量の変化をある程度予測できると考えられます。
このように、ふくらはぎの太さは、筋肉量の低下を早期に察知する「簡単で有効な指標」として期待されています。
特別な検査機器を使わずとも、メジャー1本あれば誰でもチェックできるため、地域の健康診断や介護予防の場面でも有用です。
筋肉量の減少は見逃すと深刻な健康問題につながる可能性があるため、ふくらはぎの変化に日頃から注目することが大切です。








