年を重ねると、筋トレをしてもなかなか筋肉がつきにくいと感じることはありませんか? 実は、歳をとった体ほど「筋肉が育つまで時間がかかる」という科学的なデータもあります。そこで今回は、高齢の方を対象にした研究をもとに、「筋肉はどれくらいの期間でつくのか?」について分かりやすくご紹介します。
この研究は、平均年齢が高めの健康な方を対象に、レッグプレス(脚を押す運動)を週2回、10週間(計20回)行ったときの筋肉の変化を調べたものです。参加者は2つのグループに分けられ、一方はトレーニングを行い、もう片方は行わないグループでした。
トレーニングの結果、脚の筋力(1RM)に関しては、なんと10週間で42%もアップ!(これはかなり大きな伸びです)しかし、「筋肉の見た目(断面積=太さ)」が増え始めたのは、驚くことにトレーニング18回目、つまり9週間を過ぎてからという結果でした。具体的には、太ももの筋肉の太さが7.1%ほど増えたのです。
この結果から分かるのは、高齢者ほど筋肉がつくまでの”待ち時間”が長くなる傾向があるということ。若い人であれば、数週間で筋肉がついた実感を得られることも多いですが、歳をとった体では同じ成果を得るのに時間がかかるんですね。
とはいえ、これは決して「筋トレをやっても意味がない」ということではありません。実際、この研究では「高齢でも続ければ、必ず筋肉は育つ」と明確に示されています。そして筋力のアップも同様に期待できます。つまり、若い頃より効率は落ちても、継続する力は年齢に関係なく重要です。
この研究が教えてくれること
・高齢になるほど筋肉の成長には時間がかかる
→ ただし、あきらめずに続ければ、確実に成果は現れる。
・筋力(力を出す力)は比較的早く伸びるが、見た目の筋肉(太さ)には時間がかかる
→ 「見た目重視」は焦らず、「力をつけること」をまず実感するのも良い戦略。
・継続が何よりの鍵
→ 筋肉の成長を感じるには、長期的な視点での取り組みが重要。
日常での「取り入れ方」アドバイス
「最近筋力が落ちてきたかも…」と感じている方も、今からでも遅くありません。この研究の流れを踏まえると、高齢期には次のような姿勢が効果的です:
・焦らず、着実に
筋トレを始めたら「まず9週間」。その間、筋力の変化を感じながら、「見た目の変化はそのあと」という理解で取り組みましょう。
・フォーム重視で習慣化
筋力に変化が出やすい時期こそ、正しいフォームや習慣づくりに意識を傾けて。
・筋肉の見た目よりも”感じる力”を楽しもう
「階段が楽になった」「立ち上がりがラクになった」という実感が、もっとも確かな証拠です。
まとめ
この研究は、「高齢だから遅くても、筋肉は必ず成長する」と教えてくれています。トレーニング5週目や7週目で変化が見えなくても、あきらめずに続けることで、必ずあなたの体は応えてくれます。筋トレに年齢制限はありません。むしろ、長く続けることにこそ、最大の価値があります。
これから筋トレを始める方、高齢になってから再開しようとしている方も、ぜひこの事実を胸に、自分のペースで一歩を踏み出してみてください。








