さすると痛みが減る?

2025.08.19

〜ゲートコントロール理論〜

指をぶつけたとき、思わずその場所を“さすって”しまうこと、ありませんか?
そして、なんとなく痛みが和らいだ気がする…。
実はこれ、ちゃんと科学的な理由があるんです。

痛みの「門(ゲート)」がある

私たちが痛みを感じるまでには、ケガや刺激の情報が神経を通って脳に届く必要があります。
その途中の**脊髄(せきずい)**には、「痛みの信号を通すかどうかを決める“門(ゲート)”」のような仕組みがあります。
この門は、開けば痛みが強く感じられ、閉まれば痛みが弱くなります。

ゲートを動かす2つの信号

神経には大きく分けて2種類の線があります。

細い線(Aδ線維・C線維) … 痛みの信号を送る

太い線(Aβ線維) … 触覚や圧力の信号を送る

ケガをすると細い線から痛みの信号がどんどん来て、ゲートが開きます。
でも、その場所をさすると、太い線からの触覚信号が増えて、ゲートが閉じる方向に働くんです。
その結果、脳に届く痛みの量が減り、痛みが和らぎます。

日常でも起きている現象

足をぶつけたら手でさする

腰が痛いときに温めたりマッサージする

電気治療器(TENS)でビリビリ刺激を与える

これらはすべて、太い神経の信号でゲートを閉じて痛みを減らしていると考えられています。

脳の状態でも変わる

面白いのは、このゲートは脳の影響も受けること。
リラックスしているときは痛みを感じにくく、ストレスや不安が強いと痛みを感じやすくなります。
つまり、痛みは「体のケガの大きさ」だけで決まるわけではないんです。

まとめ

「さすると痛みが減る」のは偶然ではなく、ゲートコントロール理論という神経の仕組みによるもの。
ちょっとした刺激やリラックスでも痛みは軽くなる可能性があります。
次にぶつけたときは、そっとさすってみてくださいね。

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