「脳」と「腸」は迷走神経でつながっている

2025.08.11

私たちの「こころ」と「からだ」は、思っている以上に密接につながっています。そのつながりの“橋渡し役”が「迷走神経(vagus nerve)」です。

迷走神経は脳から胃腸・心臓・肺などの臓器に広がる神経で、自律神経のうち副交感神経を担う大事なルートです。単に「内臓を動かす」だけでなく、脳と腸のやりとり=腸脳相関(brain-gut axis)にも深く関わっており、近年の研究では、この迷走神経が「うつ病」「不安」「過敏性腸症候群(IBS)」「慢性炎症」などにも関係することがわかってきました。

ストレスが腸に影響し、腸の状態が心に返ってくる

腸には脳と同じように神経ネットワーク(腸内神経系)があり、ここから送られる信号が迷走神経を通して脳に届きます。逆に、ストレスなどの精神的な刺激は、脳からの指令として迷走神経を通じて腸の働きを変えてしまうことも。

この双方向のやりとりにより、例えば「不安でお腹が痛くなる」「腸内環境が乱れると気分も落ちる」といったことが起きるのです。

迷走神経と“炎症”の関係

迷走神経は、免疫にも関係しています。迷走神経が活性化されると、「コリン抗炎症経路」と呼ばれる仕組みが働き、体内の炎症を抑える物質が分泌されます。

この反応は、リウマチや潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性疾患の緩和にも効果が期待されており、医療現場では迷走神経を電気で刺激する治療(VNS:Vagus Nerve Stimulation)も行われています。

呼吸・食事・運動で迷走神経をケアする

迷走神経は、日常生活でも刺激できます。たとえば:
・ゆっくりとした腹式呼吸
・軽い運動やストレッチ
・発酵食品などを含む腸に良い食事
・瞑想やマインドフルネス
・冷水シャワーや笑う・歌う

こういった行動は、迷走神経を活性化し、自律神経のバランスを整えてくれます。

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