年齢を重ねると「もの忘れが増えてきた」「言葉がすぐに出てこない」といった不安を感じる方は多いと思います。最近の研究では、こうした認知機能の低下と「考え方のクセ」に関係があることが分かってきました。
特に注目されているのが 「反復的な否定的思考(Repetitive Negative Thinking, RNT)」 です。これは、過去の失敗を何度も思い返したり、まだ起きてもいない将来の不安を繰り返し考え続けたりすることを指します。誰にでも心当たりがあるかもしれませんね。
研究でわかったこと
中国で行われた研究では、60歳以上の高齢者424名を対象に、思考のクセと認知機能を調査しました。
「反復的な否定的思考」が多い人ほど、認知機能のスコアが低い ことが分かりました。
特に影響が出やすいのは、
・60~79歳の比較的若めの高齢者
・学歴が中学卒業程度の方
でした。つまり、「嫌なことを繰り返し考えるクセ」が、認知症のリスクを高める可能性があるということです。
なぜ悪影響があるの?では、どうしてネガティブ思考を繰り返すと脳に悪いのでしょうか?
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ストレスホルモン(コルチゾール)の増加→ 脳の記憶をつかさどる「海馬」に悪影響を与える。
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睡眠の質の低下→ 脳の回復や老廃物の除去がうまくいかなくなる。
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気分の落ち込みや不安の増加→ 脳を使う活動が減り、刺激が少なくなる。
このように、心のクセが脳の健康にも影響を与えるのです。
できることは?
「ネガティブな考えをするな」と言われても、そう簡単には直せませんよね。ですが、いくつかの工夫で改善できることが分かっています。
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マインドフルネスや瞑想→「今ここ」に集中する習慣を持つことで、考えのループを断ち切る。
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認知行動療法(CBT)の活用→「考え方のクセ」を客観的にとらえ、現実的で前向きな捉え方に切り替える練習。
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体を動かす→運動はストレス軽減と脳の活性化に効果的。散歩やストレッチでも十分。
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人と話す→会話は脳への刺激になり、気持ちを整理するのにも役立つ。
まとめ
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・「嫌なことを繰り返し考えるクセ(反復的な否定的思考)」は、認知機能の低下と関係がある。
・特に60〜70代の方や、学歴が低めの方に影響が出やすい。
・ネガティブ思考は脳に悪い影響を与えるが、工夫次第で改善可能。
日常生活の中で「考えすぎて疲れているな」と感じたときは、一度深呼吸をして気持ちを切り替えてみましょう。脳の健康を守ることは、未来の自分への大切な投資になります。








