呼吸が乱れると、身体も心も乱れる

2025.07.31

呼吸には、実は以下の3つの重要な役割があります。

  1. 生化学的役割
    体内の酸素と二酸化炭素のバランスを整えること。これが崩れると、めまい・息苦しさ・疲労感などが起こりやすくなります。
    力学的(運動的)役割
    横隔膜や肋骨まわりの筋肉を使って、姿勢を支えたり、体幹の安定性を生み出したりします。腹圧のコントロールもここに含まれます。
    精神心理的役割
    呼吸と自律神経は密接に関係していて、早く浅い呼吸は不安や緊張を助長し、逆に深くゆっくりした呼吸はリラックスや安定感を促します。

この3つはどれも密接につながっており、ひとつでも乱れると、全体のバランスが崩れてしまいます。

呼吸不全が招く悪循環
機能不全呼吸が続くと、こんな悪循環に陥りやすくなります。
・浅くて速い呼吸が常態化(胸式呼吸)
・首や肩に余計な力が入り、コリや頭痛を引き起こす
・横隔膜がうまく使えず、体幹の安定性が失われ、腰痛や姿勢の崩れに
・自律神経の乱れにより、イライラ・不安・不眠に繋がる
実際の研究でも、腰痛患者の多くが横隔膜の動きが小さく、左右の厚みに差があり、呼吸のテンポも速いという結果が報告されています。

対策は「呼吸リトレーニング」
Courtneyらの研究では、DBに対して以下のような呼吸リトレーニングが有効であるとしています。
・呼吸数を整える(目安:1分間に8〜12回)
・横隔膜をしっかり使った腹式呼吸を習得する
・肋骨の柔軟性や姿勢を整える
・不安や緊張に気づき、呼吸と連動させてリラックスする
このように、ただ呼吸を整えるだけでも、痛み・姿勢・メンタルなど多面的に効果が期待できます。

参考文献
Courtney R. (2009). Breathing pattern disorders. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 13(3), 215-223.
Wallden M. (2017). The diaphragm’s role in function and dysfunction. J Bodyw Mov Ther.
Lee D. (2003). The thorax: an integrated approach. Manual Therapy.

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